Zone A

社会的受容性の向上

F6 外向けHMIでのコミュニケーション

外向けHMIによるコミュニケーション

自動運転サービスの普及・過渡期において、周囲の歩行者・ドライバーが低速走行する自動運転サービスカーに遭遇する際の安全・安心で円滑な関わり-コミュニケーション-を実現するための方法を研究開発しています。

自動運転サービス実証実験のドライブレコーダ映像分析

中山間地域における道の駅等を拠点とした実証実験の7地点を対象に、1地点あたり20日間以上、計233日を記録したドライブレコーダ映像から、自動運転サービスカーと周囲の歩行者やドライバーが関わる場面を分析し、非効率な場面や不安全な場面が生じていること、それらはいくつかの特徴に分類されることを見出しました。

自動運転サービスカー(カート) 自動運転サービスカー(バス)
歩行者の横断場面 自動運転サービスカーと周囲歩行者との不安全・非効率な関わりの観測数のグラフ 自動運転サービスカーと周囲ドライバーとの不安全・非効率な関わりの観測数のグラフ

横断場面や接近・回避場面、追越場面において自動運転サービスカーとの間に不安全/非効率な関わりが生じており、地域の特徴や歩行者/ドライバーなどの違いによって発生件数が異なっています。
歩行者やドライバーが自動運転サービスカーの振る舞いをよく知らないことに起因していると考えられ、自動運転サービスカーの意図や状態を周囲の歩行者・ドライバーに伝達するための方法-コミュニケーション-の開発が必要となります。

バーチャル環境でのコミュニケーション方法の開発

自動運転サービスカーと周囲の歩行者やドライバーの間で生じやすいと考えられる非効率な場面や不安全な場面をバーチャル環境で再現し、外向けHMI(Human Machine Interface)を新たに導入して、自動運転サービスカーの動き方と組み合わせて-コミュニケーション-するための方法を検討し、その効果を確認しました。

接近・回避場面の実験

接近・回避場面の実験
接近・回避場面の実験のグラフ

外向けHMIがない状況では、歩行者に回避行動が必要であることを認識させることが難しい傾向にありましたが、
外向けHMIを実装することで回避行動が必要である状況を認識させることが可能となりました。

追越場面の実験

追い越し場面の実験
追い越し場面の実験のグラフ

「周囲に注意/お先にどうぞ」(交互)を伝達すると追越場面での周囲状況の視認時間減少を誘発する傾向にありましたが、「追越注意」を伝達することで追越場面での周囲状況の視認時間を増大させるほか、いらつきなどの心理を低減させる効果があることを確認しました。

構内道路環境でのコミュニケーション方法の開発

構内道路環境にて自動運転サービスカー(実験車)に外向けHMIを実装し、自動運転サービスカーの動き方と組み合わせて、自動運転サービスカーから意図や状態を伝達し、歩行者やドライバーの認識・判断・行動への効果を確認しました。

自動運転サービスカーの動き方のグラフ 自動運転サービスカーの停止タイミングのグラフ
自動運転サービスカーの停止タイミングのグラフ

外向けHMIが実装されていない場合は、自動運転サービスカーが停止しても、その直後は譲られていないと感じて横断開始の判断が遅くなる傾向がありますが、外向けHMIが実装されることで、また自動運転サービスカーを減速開始を早めることで、早い段階で横断開始の判断を促せる可能性を確認しました。

実証実験でのコミュニケーション方法の検証

バーチャル環境、構内道路環境での実験を通じて得られたコミュニケーション方法、外向けHMIの仕様等を自動運転サービスカーに実装して(基準緩和認定申請)、道の駅 赤来高原(島根県飯石郡飯南町)、福岡県みやま市山川地区の協力の下、実証実験を実施しその効果を検証しました。

自動運転サービスカー実証実験 歩行者の横断開始までの判断時間の結果のグラフ
自動運転サービスカーの停止タイミングのグラフ 後続車の追越開始直前の走行状態の分類結果のグラフ

外向けHMIを実装しない場合と比較して、横断待ち歩行者の横断開始までの躊躇時間の低減を促せる可能性を確認しました。一般国道を含む区間を主として、周囲車両も実勢速度50km/hと自動運転サービスカーとの速度差が大きい状態でも、追越開始前の後続ドライバーに減速や徐行などを促せる可能性を確認しました。

課題

見通しや幅員などの道路環境や走行車両などの交通状況を含めた地域の特徴、周囲に複数の歩行者・ドライバーが存在する場合などに対応するためのコミュニケーション、言語に依存しない、非テキスト型のコミュニケーション方法の開発など
人への配慮賞