市民ダイアログ2019
戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)自動運転(システムとサービスの拡張)では、自動運転に対する社会的受容性の醸成を目的とした取組みとして、長野県伊那市で「市民ダイアログ」を実施しました。
イベント概要
自動運転に対する更なる社会的受容性の醸成に向け、道の駅「南アルプスむら長谷」を拠点とした自動運転サービスの実証実験を実施した、長野県伊那市にて「市民ダイアログ」を開催しました。
今回の市民ダイアログでは、伊那市の住民(交通事業、産業、医療、福祉、教育、学生、子育て世代、免許返納検討者等)計21名とSIP自動運転関係者3名及び有識者1名計25名で、移動に関する課題やニーズ、自動運転への期待・不安について、対話形式でグループ討議を行い、伊那市の理想の未来像について意見を出し合い、自動運転のある社会について一緒に考えていきました。
◆ 開催日時
- 2019年8月5日(月) 13:00~16:30
◆ 開催会場
- 気の里ヘルスセンター栃の木
長野県伊那市長谷非持544番地1
◆ 参加者
- SIP自動運転:プログラムディレクター 葛巻清吾
SIP自動運転:サブ・プログラムディレクター 有本建男
SIP自動運転:推進委員会構成員 モータージャーナリスト 岩貞るみこ
国際自動車ジャーナリスト:清水和夫
市民パネリスト 21名
◆ 関連資料
◆ 開催レポート
今回の市民ダイアログは、自動運転の実証実験を実施した地域としては初の開催地となり、実際に自動運転を体験・耳目に触れた方も多かったことから、自動運転をより実現可能なものとして捉えながら、将来の移動・物流サービス、自動運転の可能性について語り合いました。
また、伊那市では、新産業を活用した産業振興、地域の課題解決を目指したまちづくりを目指しており、様々な分野、観点から意見が出され、活発な意見交換がなされました。
以下は、市民の皆さまのご発言の一部となります。
テーマ1:移動に関する課題・期待、住み続けたいまちとは
「地方だと、公共交通機関に自分の移動時間を合わせて暮らすことになる。そこに不便を感じるからマイカーを使っている」
「スーパーマーケットの業務では、商品の調達、納品、配達、販売に移動が関わってくる。配達する人が集まりにくいのは悩みだが、自動運転でデリバリーを行うと、納品時に誰が検品するのか、配達時にどう決済をするのか、いろいろな課題がある」
「バスの本数が少ないので、商品を運ぶことで本数を増やせるなら人にとっても有難い」
「子育て世代は送迎の時間がかぶっている。塾とか通学とか。そこを「くらしのシェア」として共有利用することができるのではないか。そこに自動運転の車を使ったとしても、シルバー人材に監視してもらうのはどうか」
テーマ2:自動運転の活用、これからの移動サービス
「高齢の方、控え目な方だと、救急車を呼ばずに頑張ってしまうことがある。勝手に病院に連れて行ってくれる車ができればいい。緊急車両が通る時、車同士が助け合ってスムーズに通してくれるなど、システムとしての成熟があるといいと思う」
「かつての御用列車のように、自宅の前に箱があって、それに乗って幹線道路へ行くと巡回している自動運転車に連結することができ、病院などに連れていってくれるような自動運転車があるといい」
また、自動運転の実現に向けた提言として、参加者より以下の様な発言もあり、各種取組みを実施されている地域ならではの会となりました。
「自動運転はこれからの社会を支える強力な手段になる。伊那市で自動運転を進めるには生活者のニーズに沿う姿勢が必要。1つ目は高速道路で、完全自動に近いシステムができるのではないか。2つ目は高齢者も含めて、車を日常的に使う人に対して。これは安全なシステムを極限まで追求していく。3つ目は定期的に病院や買い物に行く人には、自動運転のバスやAIタクシー、自動運転の大型バンのようなものを作る。一括りに自動運転とは言わず、どうすれば現実的で使い勝手がいいか掘り下げが必要」
最後に、SIP-adusの有本サブ・プログラムディレクターより、これからもこのような議論を続けていきたいといった総括をうけ、市民ダイアログは閉会しました。
-
【実施風景】
-
【グラフィックレコーディング】
参加した市民の理解促進を図ることを目的に、議論の内容を視覚的な表現でその場で記録する“グラフィックレコーディング”を実施しました。